前回、有害燃焼排出物の中でも代表的な「ばいじん」について紹介しました。今回は燃焼排出物の中でも有名な、硫黄酸化物と窒素酸化物について紹介します!
そう、ついに来ました、NOXとSOXです!
なんか兄弟みたいな名前ですね!
硫黄酸化物については、過去の記事で重油の硫黄分のところで書きましたが、
(関連記事)エネルギー管理士熱分野!合格者が教える!過去問から学ぶ超効率的勉強法とは?
硫黄酸化物とは
燃焼する事で作られてしまう亜流酸ガス(so2)と無水硫酸(so3)の事です!
【SO2の特徴】
一言で言うと臭いです!濃度が高くなると目や鼻の刺激が強くなり、100ppm程度で気管支や肺組織に障害を起こし、さらに濃くなると呼吸困難になります。
※ちなみに、人間が気がつく臭気レベルは3ppmなので、100ppmはまさに地獄絵図です!
【SO3の特徴】
燃焼排ガス中の水蒸気と反応して硫酸を生成します。
恐ろしいです!
【SOXの特徴】
燃焼によるSOXのSO2への転換率は、ほとんどが100%である。
発生したSO2の一部(1~5%)が、火炎中でさらに酸化されてSO3になる。
恐ろしいですね!多少でも硫酸が発生するとなると、注意しないとダメだすね!
ちなみに、酸化されるということは、O原始が増えるということなので、SO2からSO3になるということですね!
酸化される要因として、空気比が高い、なんとか空気比を抑えた方が良いのですが、抑えすぎると今度は、すすが発生したりするので、調整が大変ですね!
それともう一つの要因が火炎温度が高い事があります。
この要因を留意してSOXを抑える努力が必要ですね!
硫黄酸化物を抑制するには?
SO2を抑制するには、低硫黄の燃料を使う以外に方法が無いので、排煙脱硫装置を設けるのが一般的です!
排煙脱硫装置はアルカリ系の水溶液、石灰-石こう法を使う湿式法が主流です。
過去に書きましたが固体燃料の流動層燃焼などでは、燃焼室に石灰やドロマイトを投入する乾式法も用いられている。
ちなみに、半乾式もあります!
続いて、窒素酸化物について説明いたします。
窒素酸化物とは?
読んだままですが、窒素の酸化物です。
窒素酸化物という言葉だと、物質が6種類ぐらい、あるのですが一般的に工場から排出されるのは、NoとNo2です。
なので、エネルギー管理士の試験では、この二つを抑えればいいと思います。
ちなみに、
NO=一酸化窒素 No2=二酸化窒素です。
※元素記号を読んだままですね!
この二つが合わさるとNoxといわれる大気汚染物質に化けてしまいまいます!
Noxと聞いて高温と完全燃焼で発生しやすい性質があると覚えてください!
そして、光化学スモッグガスの原因物質の1つでもあり、またSOX(硫黄酸化物)とともに、酸性雨の原因物質です。
よく、我が家の近くの工場から光化学スモックガスが発生しているとの放送が流れます。
NOXが排出されない燃料ができる事を期待します。
NOXの発生原因
NOXの発生原因は、燃料の窒素であるフェーエルNOXと
空気中の窒素であるサーマルNOXの2種類が主ですが、
さらに、燃焼空気などのN2が火炎中のCH.CH2なとど反応して生成されるプロンプトNoxがあります。
ボイラなどの燃焼装置における燃料中の窒素からのNOXへの転換率は20%から50%ぐらいです。
この20%から50%の差に関しては、燃料中のN分の濃度が高いほど、燃焼の空気比が高いほど増大してしまいます。
※エネルギー管理士試験含め、様々な試験で「高い低い」「大きい小さい」などの言葉を使った出題があり、引っかけてきたりします。
例えば、上記の燃料中の過去問に「N分濃度が低いほど」が正しいのですが、「N分濃度が高いほど」が
正しいかどうか?を聞いてくるパターンが多々あるので、
私は勉強する時には、「高い低い」「大きい小さい」は特に気を付けています!
過去の記事で勉強法のマインドセットについて書いたものがあり、私の勉強のやり方などを具体的に書いてますの是非読んでみてください。
Noxの人体への影響
Noxを吸い込んでしまうとどうなってしまうのか?
人体への影響は何があるのか?と思い調べた所、
【二酸化窒素の場合】
中性で肺から吸収されやすい気体または液体です。吸い込むと細胞内では二酸化窒素は強い酸化作用を示して細胞を傷害する。なので、粘膜の刺激、気管支炎、肺水腫などの原因となる。
恐ろしいですね!自動車の排気ガスにも含まれているので、注意が必要ですね!
などがあり、設備管理者の方は是非この事を留意した上で抑制して頂きい限りですね。
NOX抑制方法(体系的)
燃焼装置からのNOXを抑制する方法としては、2点あります。
まず、燃焼装置からNoxを減らす方法と燃焼技術からNoxを減らす方法があります。
「技術と装置」間違えないで下さい!
【燃焼装置から減らすNox方法】
①燃焼条件の改変
②排煙処理
【燃焼技術でNoxを減らす方法】
①運転条件の変更
②低減化の目的に開発された新しい燃焼方法
①低酸素燃焼法
読んで字のごとく、酸素を抑えることによりNOX発生率が低減されます!
どの辺まで抑えていいかは、ばいじん、一酸化炭素、炭化水素の排出量がどの辺まで許容されるかによります。
②燃焼室熱発生率の低減
これも、燃焼室の熱を抑えればNOX発生率が下がります。
③燃焼用空気の予熱温度の低減
燃焼用空気の予熱を行っている装置に関しては、温度を低減させることにより、NOX発生率が下がります。
④多段燃焼法(これが1番しっくりきます)
1段目に理論空気量より少ない空気で供給し、2段目以降で不足分を補い系全体で完全燃焼させる方式です。
こうすることにより、火炎温度が下がるのと酸素分圧が減るので
NOX発生率が下がります。
この方法が1番有望と言われています。
⑤排ガス再循環法
排ガスの一部を燃焼室内に循環するか、燃焼用空気に混合させることにより
NOX発生率を低減させるが、火炎が安定しない事があるので、混合率は30%以下にするべきだと思います。
⑥脱硝装置による対策
現在、わが国の90%が乾式のアンモニア接触還元法を用いている。
反応剤としては、尿素、アンモニア
私の職場でもNOXを抑えるのに、アンモニアを使用しています。
尿素水が設置しているのですが残量を確認するのに、蓋を開けて確認しないといけないので、確認していますが、尿素水が鼻に入ってきていつも目がチカチカしてきます。
アンモニアは強力ですね!窒素酸化物も消滅する感じが身をもって体験できました。
まとめ
硫黄酸化物と窒素酸化物はエネルギー管理士試験熱4でも出題される項目なので、
ここも必ず押さえましょう。
エネルギー管理士試験だけではなく、建築物環境衛生管理技術者の試験でも出たりしまうすので、目指している人は要暗記です。