今回はエネルギー管理士試験で、主に重油に関して出題される、液体燃料
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固体燃焼装置の原料として出題される固体燃料
さらに稀に出題される新燃料について説明致します!
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液体燃料の長所と短所について
液体燃料の長所は以下になります。
a.品質が一定であれば、固体燃料より発熱量が高い
b.灰分が少ない
c.貯蔵中の変質が少ない
d.燃料の調整が容易です
e.貯蔵や輸送に便利です
f.取扱いが容易です
などなど、長所があります!
気体燃料との比較を是非してみてください!!
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また、液体燃料の短所は以下になります。
必要量のほとんどが、海外に依存している。
※2018年のエネルギー管理士試験科目1の試験で石油の輸入先が出ました!!
a.価格の安定や量の確保が国際的な諸条件に左右されやすい。
※中東戦争が勃発したら1973年におきたオイルショックがおきるかもしれませんね!
b.燃焼温度が高く、局部燃焼を起こしやすい。
c.重質油は硫黄分を含むので、燃焼によって二酸化硫黄を発生する。
硫黄酸化物とはSOXの事です!!
液体燃料の輸入先
※輸入先TOP5を記入します。(2016年度)
1位 サウジアラビア 35.7%
2位 アラブ首長国連邦 24.4%
3位 カタール 9.2%
4位 イラン 6.9%
5位 クウェート 6.8%
です。
硫黄酸化物SOXとは?
石油や石炭など硫黄分が含まれる化石燃料を燃焼させることにより発生する。
大気汚染や酸性雨などの原因の一つとなる有毒物質です。
また、自然界においても火山ガスなどに含まれています。
無色で刺激臭があり、水にとけやすいです!
硫黄酸化物は水と反応することで、硫酸や亜硫酸を生じる。
※硫酸が降ってきたら怖いですね!
1960年代から1970年代には、石油や石炭を燃やすときに排ガス処理装置をつけていなかったため、産業活動の活性化に伴い硫黄酸化物が大量に排出され、大気汚染の原因となりました。
※日本の高度成長時代ですね!
特に三重県四日市市のコンビナートでは、四日市ぜんそくとしても知られる公害病が発生し、社会問題となりました。
※恐るべしSOX!


※酸性雨降ったら気を付けましょう。
液体燃料の種類について
液体燃料の種類は
原油、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油、重油とあります。
エネルギー管理士の試験では、発熱量など聞かれますので、要暗記です。
原油について
蒸留により、ガソリン、灯油、軽油、重油に分けられ、さらに精製することによって石油製品になります!
主に、大型の火力発電所の燃料として使用されています!
それと、液化石油ガス、ナフサとしても生産されます。
ガソリンについて
沸点が320~470Kの軽質油で、高発熱量は48MJです。
C5~C11の炭化水素成分を含んでいます。
オクタン価によって1号と2号で分けられて、日本ではオクタン価90以上の2号に属します。
常温でも引火しちゃうので、取扱いには十分気を付けないとダメです!
自動車や航空機の燃料として使用されています。
ナフサについて
ガソリンと灯油の中間成分で粗製ガソリンとも呼ばれています。
灯油について
沸点が450~570Kの留分で、高発熱量は46MJです。
C10~C14の炭化水素成分を含んでいます。
JISでは、引火爆発の危険が無いように、引火点40以上と定められています。
1号と2号に分けられ、1号灯油は燃焼ガスをそのまま室内に放置する場合が多いので十分に精製させる必要があります。
2号は工業用(石油発動機燃料や溶剤および洗浄用)なので精製度は低くて大丈夫です。
ちなみに、1種は暖房用や厨房用の燃料に使用されているから、精製の必要があります。家の暖房ですね!
(補足)引火点とは?
JISでは油蒸気と空気の混合気体に引火する最低の温度を引火点といいます。
軽油について
沸点が470~600Kの留分で、高発熱量は44~46MJです。
C11~C19程度の炭化水素の成分を含んでいます。
JISでは流動点を基準に5種類に分類されています。
(特1号、1号、2号、3号、特3号)
引火点は50℃以上です。
大気汚染の観点から、JISでは硫黄分が0.0010質量%以下と規定されています。
主に、ディーゼル機関の燃料として使用され着火の良否はセタン価で評価されるよ。セタン指数45以上が望ましいです。
ガソリン機関とディーゼル機関の注意点
基本的にノックを発生させない配慮が重要で、
※ノックとは
ガタガタと振動する現象。
ガソリンの場合は
オクタン価が高いほど発火遅れが長くアンチノック性が高い。
軽油の場合は、
セタン価が高いほど発火遅れが短くアンチノック性が高い。
重油について
重油の特徴はJISでは、動粘度によって3種類に分類されるよ!
1種(A重油)2種(B重油)3種(C重油))さらに、
1種は硫黄分によって1号2号の2種類があります!
さらにさらに、
3種は動粘度によって1号、2号、3号の3種類があります!
ちなみに、A重油は金属精練用や小型内燃機関
B重油は大型ディーゼル機関、
C重油は製鉄用、大型ボイラ、大型内燃機関に使用されています!
※注意点
重油の流動点は低温における流動性について重要な指標ですが、一般に重油の流動点と粘度の相関は、粘度が低いものは流動点が低い傾向があります!
残留炭素の多いほど粘度は高くなります!
重油の特性について
重油は、毎回なんらかの形で試験に出ています!
なので、細かいところまで覚えた方が良いです!
具体的には
密度
C>B>Aの順で高い。
引火点
C重油70℃ A、B重油60℃
動粘度→1種1号から3種3号にかけて高くなる。
流動点→1種5以下 2種10以下
残留炭素分
水分→1種1号から3種3号にかけて高くなる。
灰分→1種2種0.05以下 3種1号2号0.10以下
硫黄分→1種1号から3種1号にかけて高くなる。
以上です。
重油の密度
1種で0.83~0.88g/㎤
2種で0.91~0.93g/㎤
3種で0.94~0.97g/㎤
程度で、密度が高くなるとC/H比(炭素・水素比)が大きくなり、発熱量は低くなる。
重油の粘度
一般に、重油を送油する際に要求される粘度は500~1000m㎡/s、バーナーにおける微粒化の際に要求される粘度は、バーナーの種類にもよるが、
概略15~45m㎡/sである。このため多くの場合、1種2種は過熱無しで使用できるが、3種重油は
送油で20~30℃
噴霧燃焼で80~90℃に
加熱する必要があります。
※これも過去に試験に出たことがあります。
重油の硫黄分
※低温腐食だから温度を上げる事が防止するポイントなんだね!
排ガス中の二酸化硫黄は大気中に排出されると、大気汚染の原因となるので、排煙脱硫装置や重油脱硫装置の設置が図られるよ!
窒素分は硫黄分に比べると、かなり少ないです。
重油の灰分
少量の金属化合物が含まれていて、その中にバナジウムがあり、そのバナジウムがナトリウムと反応して低融点の化合物を作り、ボイラの加熱管などを腐食する。これを高温腐食あるいはバナジウムアタックという。
※低温腐食と高温腐食をハッキリと区別できるようにしよう。
ちなみに、発熱量は42~46MJ/㎏だよ。
続いては固体燃料から始めていきたいと思います。
固体燃料について
固体燃料の長所と短所を説明していきます!!
固体燃料の長所
1.燃焼速度が遅いので特殊な目的(製鉄用)などには優れている。
2.貯蔵や運搬にバラ積みができるので保管が楽です。
固体燃料の短所
1.乾燥や粉砕などの前処理が大変です。
2.燃焼管理が難しいです。
3.燃焼後多量の灰を残します。
4.パイプ輸送ができないです。
などがあります。
石炭の代表的な性質
1.粉砕性:微粉炭を燃焼するときの燃焼性を表すもので、
ハードグローブ指数によって粉砕性を示します。ハードグローブ指数が
大きいものほど粉砕性が容易です。
2.燃焼性:石炭化度の低い石炭は、着火温度が低く燃焼温度が大きい性質があります。
3.粘結性:石炭のコークス化の度合い示すもので、粘結性の強さと膨張性がほぼ比例関係にある事により、膨張性を測定して粘結性を表しています。
石炭の特徴
1.石炭を用途により分類すると、燃料としてそもまま使用するものを一般炭(ボイラ炭)、コークスを製造するために使用するものを原料炭(粘結炭)といいます。
2.石炭は石炭化が進むと固定炭素が増加し、揮発分が減少します。
3.石炭化の指標として燃料費が使用されるよ。
燃料費=固定炭素/揮発分・・石炭化度の指標
4.最も石炭化が進んだ石炭は無煙炭で、揮発分が少ないため着火しにくく、
燃焼中は、ほとんど炎を発生させないよ。
5.燃料比の大きいものから順に
無煙炭>瀝青炭>亜瀝青炭>褐炭>亜炭>泥炭
となります。
6.比重は1.2~1.5で、発熱量は20~30MJ/㎏です。
コークスの特徴
1.粘結炭を主成分とする原料用の炭を、約1000℃で乾留して得られる。
2.主に製鉄用か鋳物用に用いられる。
3.副生ガスは過去に都市ガスの燃料として使用されていた。
4.比重は1.8~2.0で、発熱量は27~31MJ/㎏です。
固体燃料は以上です。
新燃料について
テクノロジーが発達している現在、環境にやさしい新燃料が開発されています。
運輸部門において燃焼させても有害物質が少ない代替新燃料として、ディーゼルエンジンの開発や水素を燃料とする自動車用燃料電池の開発などが取り組まれています!
このうち代替新燃料として、天然ガスを原料とするGTLやジメチルエーチル(DME).メタノールのほか、バイオマスを原料としたエタノールなどがあります!
GTLの特徴
油の代替燃料として期待されていて、GTLは硫黄分や芳香族成分などほとんど含まずSOXやすすが発生しにくいなど、いいことづくめです。
さらに、セタン価が90以上と軽油と比べてはるかに高いです。
DMEの特徴
ディーゼルエンジン新燃料や工業用LPGの代替燃料として期待が高まってます。
DMEは常温では気体ですが少し加圧すれば、液体になりDMEもGTLと同じくセタン価が60以上と軽油より高く硫黄分や不純物を含まず、燃焼時にSOXやすすを発生させない新燃料として期待されています。
まとめ
液体燃料の体系的な部分を暗記して、試験に備えましょう。
特に重油の事を重点的にやりました。
液体燃料の中でも特に重要だから覚えた方がいいです!
毎回試験でお見かけする項目なので、私は今回も出題されると踏んでます!
間違ってたら、ごめんなさい。
固体燃料に関しては試験にあまり出ていない印象です。
燃焼計算の方で最近固体燃料が出てますね。
新燃料に関しては、法令などでも出る可能性が高いので、上記以外も
抑えといた方が良いと思います。
テクノロジーが発達して様々な燃料が出てくることに期待です。